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ホームインスペクターが解説!中古住宅購入時のチェックポイント10項目

中古住宅は新築住宅に比べるとリーズナブルな価格帯で販売されている反面、『不安』や『わからない』など不安点、心配点も多いと思います。

 

リフォーム済の物件もあれば、現状渡しの物件もあり、家の状態はさまざまです。

 

購入後にに水漏れしてた、雨漏りが発生したなどの購入後のトラブルを回避するには、内見時のチェックが重要なポイントです。

すべてを不動産業者に任せるとトラブルの元です。

 

そこで今回の記事では、過去の記事を参考に、筆者(建築士かつインスペクター)が重要視している10個のチェックポイント、注意点を解説していきます。

 

本記事は、長文となるため、前半には、最重要チェックポイント3つ、住宅性能チェックポイント2つ、後半にはその他のチェックポイント5つに分けて解説していきます。

 

内見を検討中の方は、ぜひチェックしましょう。

 

①雨漏り(重要チェックポント)

雨漏りの事例

中古住宅に入居した後、多いトラブルが 雨漏りです。屋根や外壁などが劣化してくると、そこから雨水が侵入し、天井や壁から雨漏りが発生します。まずは、内見時に天井や壁に雨染みが無いか確認しておきましょう。雨染みがある場合は、雨漏りしている、雨漏りしていた可能性があります。

 

台風や大雨の日にご家族が安心して暮らしていただけるよう、購入される前にしっかりと直しておきましょう。また、軽微な雨漏りの場合、発生原因箇所の補修のみ行い、天井などの雨染みはそのままにしてあることもありますので、リフォーム履歴の確認や、保証などを売主に確認しておきましょう。

 

雨漏りチェックポイント

 

  • 天井、壁に雨染みがないか
  • 家の外に、屋根材(瓦・スレート)などが落ちていないか
  • 複雑な屋根の構造(増築や棟・谷が多い)になっていないか

②水漏れ(重要チェックポント)

水漏れの確認

水漏れは、家を傷める原因にもなり、気が付かず漏れ続けると、高い水道料金を払うことにもなります。

 

新築と違い、中古住宅は配管や設備が古いので、水漏れしていないことをご購入される前に必ず確認しておきましょう。

 

水道メーターは、家庭における水道使用量を図る機械です。さらに漏水をチェックする機能がついています。宅内の蛇口を開けた状態では、コマ(パイロットマーク)が回転します。蛇口を締めた状態であれば、コマは動きません。水漏れが発生している場合、このコマが少しずつ回転していることがあります。水道を使用していない状態で、コマの動きを確認してみてください。

 

水漏れチェックポイント

  • 検針票で異常な請求が来ていないか売主に確認
  • コマ(パイロットマーク)の動きを確認
  • 設備等の水漏れがないか売主に確認
  • 水栓やトイレを流してみて、漏れないか確認

内見ができる機会があれば水道メーターのパイロットをチェックしてみましょう。給湯器や水廻り設備等から微量に水漏れしているケースもあるので、注意しましょう。

 

過去の記事に水道設備セルフチェックポイントをまとめてありますので、こちらをご覧ください。

 

>配管・設備のセルフチェックポイント

③白蟻(重要チェックポント)

白蟻の事例

一般的にはシロアリに被害を受けてから3年以上経過してから、羽アリが発生すると言われています。特に浴室まわり、玄関、外周部など、湿気が多い場所での発生がほとんどです。

 

内見時に以下のような異変がないかセルフチェックされることをおすすめします。

 

白蟻チェックポイント

 

  • 床がふかふかする
  • 柱を叩いたら空洞音がする
  • 家の外周部に木材が置いてある(北陸では雪囲い用の木、シイタケ原木など)

一つでも当てはまるものがあればシロアリのチェックを専門業者へ依頼した方が安心です。

④耐震(性能チェックポイント)

耐震改修の事例

不意に発生する地震に備えて、家族が安心して暮らせるように、建物の耐震性を確保することも大切です。

耐震性については、簡易的に購入者自身できるので確認しておきましょう。

 

建築した年代

 

  • 昭和56年6月以降(新耐震基準)
  • 昭和56年5月以前(旧耐震基準) ⇒ 専門家に見てもらいましょう

壁の量

  • 東西南北均等に壁がある
  • 縁側など大きな開口が多い ⇒ 専門家に見てもらいましょう

経年劣化

  • 基礎・外壁にひび割れがない
  • 雨漏りやひび割れが多くある ⇒ 専門家に見てもらいましょう

屋根の材料

  • トタンや板金屋根を使用している
  • 日本瓦・セメント瓦屋根を使用している ⇒ 専門家に見てもらいましょう

家の形状

  • ほぼ正方形に近い形である
  • 長方形やL型に近い形である ⇒ 専門家に見てもらいましょう

これらは、日本建築防災協会の「誰でもできる わが家の耐震診断」の内容を抜粋したチェックポイントになります。

より詳しく調べるには耐震診断が必要です。

 

>参照:誰でもできる わが家の耐震診断

⑤断熱(性能チェックポイント)

断熱改修の事例

断熱性というのは家の外の熱を室内に伝わりにくくすることを言い、見た目ではわかりません。 断熱性の高い住宅は、冷暖房に頼らず、年間を通して快適な室温を維持しやすくなります。冷暖房費の節約になり、建物の長寿命化になります。

 

リフォーム時で、断熱性能を上げる場合は気密性も同時に上げることと、換気対策も重要になります。

 

内見時は、以下の確認を行いましょう。

 

断熱チェックポイント

 

  • 建物の建築年代
  • 窓がシングルガラスかペアガラスか
  • 天井点検口、床下点検口から断熱材をチェック

 

過去の記事では、中古住宅の断熱性セルフチェックを解説しております。

 

>中古住宅の断熱性セルフチェックポイント

⑥屋根・外壁(その他チェックポイント)

屋根外壁は太陽光の紫外線や熱、雨風にさらされることで、損傷しやすい部位です。また、経年劣化によるひび割れが生じると、内部へ雨水が侵入する可能性があります。もし修理となると高額な修理、改修が必要となる部位です。

 

中古住宅購入時には以下の点に注意しましょう。

 

屋根・外壁のチェックポイント

  • 屋根材の種類確認(参考:屋根材の耐久性  瓦 > 板金 > スレート)
  • 屋根の損傷(割れ・ズレ)がない
  • 外壁の表面塗膜やひび割れがない
  • コーキングの劣化がない

外壁については、過去の記事でメンテナンスポイントをまとめてありますので、まずは セルフチェックをしてみましょう。

 

>インスペクターが教える家の外壁メンテナンスチェックポイント

⑦設備(その他チェックポイント)

設備機器

住み始めて最初に気づくのが、設備の故障です。給湯ボイラーやガスコンロ、換気扇、エアコンなどの住宅設備、電気製品はおおよそ10~15年のサイクルで交換が必要になります。入居直後は問題なかったけど、数か月で故障してしまうケースも珍しくありません。

 

内見時のチェックポイント

 

  • 給湯器(ガス・石油・エコキュートなど)は点火状況のチェック、お湯が出るか
  • 照明器具、換気扇の動作確認
  • 水廻り設備のガス、水栓、排水確認
  • エアコンの動作確認

 

これに加えて、製造年月日をチェックすることで、後何年後に交換が必要か判断目安となります。

10年以上経過している設備は、近い将来交換の可能性があります。

 

住宅は設備の更新は数万円~数十万と大きな費用が掛かります。中古住宅を購入される前に設備入替の長期計画を立て、それにかかる費用を準備しておくことが大切です。

 

⑧家の傾き(その他チェックポイント)

家の傾き事例

中古住宅では家の床や柱が傾いていることがあります。

 

傾いている原因の一つとして。建物が建っている地面が 軟弱な地盤だった場合、建物は沈下するケースが考えられます。

平成12年以前の住宅は、地盤調査や地盤改良が義務付けされていませんでした。

 

土盛りの造成地だったり、埋め立てした宅地などは注意しておきましょう。

 

別の原因としては、経年による構造材の腐朽、シロアリなどが原因で結果として柱が傾いていることも考えられます。

 

人間は敏感な人で 4/1000~5/1000 になると床の傾きを感じ、6/1000 になると健康被害(頭痛、めまい、ふらつき等)を生じると言われています。

 

※6/1000とは、1000mm辺り6mmの不陸・傾きがあることを指します。

 

内見時のチェックポイント

 

  • 室内ドアが自然に閉まる
  • サッシや引き戸の開け閉めが出来ない
  • 家具が壁に対して、傾いていないか
  • ビー玉を転がしてみる。

 

 

⑨建具、サッシ(その他チェックポイント)

室内建具の事例

外部サッシや木製建具は、建てつけが悪い状態(開閉時に何か引っかかりを感じる、ギーギー音が出る等)になっていることがあります。

このような場合、戸車や丁番を調整することで解消できますので、ご購入前にチェックしておくとよいでしょう。

 

サッシ、建具のチェックポイント

  • サッシ、建具の動作確認
  • 鍵の開け閉めの確認

⑩空き家(その他チェックポイント)

空き家の事例

しばらく住んでいない空家などは、換気が不十分になり、カビが発生しているケースもあります。

 

また、ハクビシンやイタチ、ネズミなどの害獣が住み着き、糞尿(ふんにょう)等で天井裏や床下に被害の報告もされています。

 

空き家のチェックポイント

  • カビ、結露が発生していないか
  • 家の周りに糞尿がないか

 

最後に

このように、中古住宅では建物本体の性能や品質に関する部分を、ご購入者様がしっかりチェックすることが可能です。不具合は売主様に直してもらえるのか、そのまま中古住宅は購入する場合は、リフォーム費用も購入前に計画しましょう。

 

購入者自身で、チェックすることに不安な場合は、住宅診断(インスペクション)サービスをご利用してみてはいかがでしょうか。

 

住宅の専門家である「ホームインスペクター」(住宅診断士)が、物件の劣化状況から欠陥の有無、改修すべき箇所やかかる費用などを見きわめ、アドバイスを行います。

 

住まいるオスカーでは、中古住宅売買時のサービスとして多くのメニューを用意しております。補助金のご相談も承ります。

ご利用希望の方は、メールにてお問合せください。

 

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この記事を書いた人

加賀谷 貴志(かがたに たかし)

 

【資格一覧】 

  • 二級建築士
  • JSHI公認ホームインスペクター
  • 既存住宅現況検査技術者
  • 耐震技術認定者

富山県を中心に住宅診断士(インスペクター)として活動しております。インスペクションの制度が世の中に広まるよう情報発信を行います。

【活動実績報告】

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