不動産相続に関する手続きは、仏教でいう四十九日法要 あたりから行うのが一般的です。
今回のブログでは、一般的な不動産相続手続きの流れについて、ご説明します。
ここからは評価した遺産に対して、遺産分割協議を行います。
相続手続きに入る前の、準備段階に関するブログはこちらから↓
【1】遺産分割協議
遺産分割協議とは、相続人全員が集まって相続財産の分割方法を決めることをいいます。
遺産分割協議は相続人全員の合意で成立し、遺産分割協議書が必要になります。一人でも反対すると、遺産分割協議は成立しません。相続人全員が揃わない遺産分割協議は無効となります。
遺言書がある場合は遺産分割協議は必要ないケースが多いですが、遺言書がない場合に限ったことではありません。遺言書があっても、条件により遺産分割協議を行い遺産分割ができる場合があります。
そもそも相続トラブルなんてお金持ちの話で、うちではそんなことにならないだろうし関係ないことだと簡単に考えているかもしれません。
相続の問題はお金持ちに限ったことではありません。
実際に発生している相続トラブルの多くは、相続財産5,000万円以下の ごく普通の家庭で起こっています。
中でも、遺産の種類が不動産だった場合にトラブルになるケースが多いです。
不動産は物理的に分割することができず、相続の際に偏りが出るので揉めてしまうようです。また、誰も相続したがらないからトラブルになったというケースもあるようです。
ちなみに、相続財産が不動産だけだった場合はどのように遺産分割するかというと、
A 各相続人で共有不動産にする(共有分割)
B 相続人で土地を文筆して分ける(現物分割)
C 相続人の一人が不動産を相続して、他の相続人にはそれに応じたお金を支払い精算する(代償分割)
D 不動産を売却してそれで得たお金を分け合う(換価分割)
という4つの方法が考えられます。
Aのように共有名義で相続するのはあまりおすすめしません。なぜなら共有名義にしてしまうと、共有者全員の同意がなければ不動産を売却することができませんし、第三者に貸す場合は共有者の過半数の同意が必要になります。また、共有者が亡くなると権利関係が複雑になってくるため、遺産分割協議で安易に共有名義にするのは望ましくありません。
生前 親と同居していた相続人がいたのであれば そのまま土地と建物を相続するのが一般的です。ただ、他に相続人がいたら不公平になりますので、C のようにお金で精算(代償分割)するといいでしょう。
相続人全員が納得し 合意すればよいことなので、相続人の一人は不動産を、もう一人はある銀行の預貯金を、もう一人は株式と保険金を、という自由な分割方法でも問題ありません。
協議が成立したら、遺産分割協議書 を作成します。
これには特に決まった様式はありません。各相続人が自署による署名と実印で押印し、署名押印をした日付を記入します。
記載する内容は以下の項目です。
・被相続人の名前
・相続日(死亡した日)
・協議した相続人
・不動産等の名義変更等の手続きをする場合は面積、構造など詳細まで記載
・預貯金、株式、生命保険解約金等の金額がわかるものは、証券や通帳に照らして正確な金額を記載
・不動産をお金で精算する場合は、その内容と支払い期限
遺産分割協議書 には、相続人全員の 印鑑証明書 が必要になります。
手続きをスムーズに進めるため、相続人は印鑑証明書を準備します。
印鑑証明書 をとる前に、市区町村で印鑑登録を行い、印鑑登録証(印鑑登録カード)を発行してもらいます。
それを提示すると 印鑑登録書 を発行してもらうことができます。コンビニでも発行することができます。
印鑑証明書 は取得から6か月以内のものを求められることが多いので、必要な時に取得することでも良いかもしれません。
注意すべき点は、実印 と 印鑑証明書 はいくら身内であっても預けたり、借りたりしてはいけません。
先にお伝えした通り、遺言書がある場合は遺産分割協議は必要ないケースが多いですが、遺言書がない場合に限ったことではありません。
遺言書があっても条件により、遺産分割協議により遺産分割することができる場合がありますし、遺言から漏れた遺産があると、遺産分割協議 が必要となり、遺産分割協議書 が必要です。
遺産分割協議書は、相続税の申告時に必要になります。
【2】名義変更(所有権移転登記)
遺産分割協議 が完了したら、不動産の名義変更 をします。
不動産の名義変更 というのは 所有権移転登記 のことで、法務局で行うことができます。
窓口で申請するほか、郵送、オンラインでも申請できます。
一般的には、司法書士などにお願いすることがほとんどです。
所有権移転登記手続きに必要な書類はこちらです。
■必要書類
・登記事項証明書
・【被相続人】戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
・【被相続人】住民票の除票
・【相続人】戸籍謄本 (法定相続人 全員分)
・【相続人】住民票 (新しく名義人になる方のもの)
・遺産分割協議書 (法定相続分以外で名義変更する場合)
・印鑑証明書 (法定相続分以外で名義変更する場合)
・相続関係説明図
・固定資産税評価証明書(名義変更する年度のもの)
・相続登記申請書
不動産の名義変更 には、必ず 登録免許税 がかかります。
登録免許税(不動産相続による所有権移転登記免許税額)= 固定資産評価額 × 0.4%
支払い方法は、現金で納付するのが原則ですが、登録免許税額が3万円以下の場合は 収入印紙で支払うことが認められています。
金融機関で、登録免許税納付書(国税用)に記入して窓口で支払い、その領収書を法務局に提出します。
税率は、租税特別措置法 第72条 で定められています。
土地や建物など複数の不動産を相続する場合は、対象となる不動産評価額を合算した後に、税率 0.4% をかけて登録免許税額を出します。
【3】相続税の申告と納付
相続税の申告は期限があります。
相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に手続きをしなくてはいけません。
相続税の申告は、税理士に相談するのが一般的です。自分で手続きをすることもできます。
自分でする人の割合は1~2割です。
相続税の申告に必要な書類はこちらです。
■必要書類
・【被相続人】戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
・【相続人】戸籍謄本 (相続人 全員分)
・【相続人】印鑑証明書(相続人 全員分)
・ 遺言書 または 遺産分割協議書 の写し
申告が漏れていた場合、申告を忘れていた場合は、加算税を支払わなくてはいけません。速やかに、より正確な内容で申告をするようにしましょう。
わからない場合は、早めに相続に詳しい税理士に相談しましょう。
【4】配偶者居住権
2020年4月1日に施行された、法務省の方策『配偶者の居住権を長期的に保護するための方策(配偶者居住権)』をご紹介しておきます。
どちらかの親が亡くなった時の話です。
以前は配偶者と子の相続分が 1:1 で相続するため、配偶者が居住建物を相続することになる場合、預貯金などの財産はほとんど受け取れなくなっていました。
ですが、配偶者居住権という権利が新設されました。
どちらかの親が亡くなったら、残された配偶者の居住権を保護し、建物所有権を持っていなくても 居住権を取得できます。
所有権は子に相続されても、配偶者には居住権があるので、亡くなるまで(又は一定の期間)住み続けることができます。
預貯金は、配偶者と子で1:1の相続分となり、当面の生活は安心です。
なお、配偶者が死亡した場合には、相続するものがありませんので、相続税がかからないというメリットがあります。
どちらかの親が亡くなった時には、配偶者居住権という権利により、生活費を確保しつつ 自宅に住み続けることができます。
まとめ
相続人の間でトラブルにならないよう、慎重に進めないといけないですが、相続手続きには期限があります。
迅速な対応、的確な判断が必要です。
よくわからない場合は、司法書士や税理士、弁護士に相談しましょう。
最後に
中古住宅の売買をご検討中の方は、申込後、契約前にホームインスペクションをしておきましょう。
住まいるオスカーでは、中古住宅売買時のサービスとして多くのメニューを用意しております。補助金のご相談も承ります。
ご利用希望の方は、メールにてお問合せください。
>ホームインスペクション業務
>既存住宅保険加入
>耐震診断・補強プラン
>中古住宅リフォーム
>フラット35適合証明書発行
>ドローン屋根調査
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