外壁及び軒裏（構造）の調査項目・手順を解説

ホームインスペクション（既存住宅状況調査）で何を診断するのでしょう？

こちらのブログでは 外壁及び軒裏（構造）に関する建物検査の詳細をお伝えします。 

外壁仕上げには、乾式仕上げ、タイル仕上げ（湿式工法）、塗壁仕上げ等があります。それぞれの仕上部位で、ひび割れ又は欠損、浮き、はらみ、剥落がないかを目視により調査します。

劣化がある場合、その外壁は構造上健全な状態ではないと判断します。

劣化事象に該当するものは以下の通りです。

※劣化事象等の基準は、既存住宅状況調査方法基準（平成29年2月国土交通省告示第八十二号）に基づく基準に準じます。

目視で、下地材（合板、ラス網・ボード・防水紙、構造材など）まで到達しているとひび割れがあるかを確認します。届かないものもありますができればクラックスケールやピアノ線を使って幅または深さを計測します。

外壁のひび割れは、その部分から水が侵入して内部の構造材が腐食する可能性が高いため劣化事象にあたります。同様に欠損、浮き、はらみ、剥落についても劣化事象となります。

筋交いや耐力壁が配置される外周部では、外壁面の両端部や中央部に劣化事象が生じやすいです。

また、基礎や土台に劣化事象がある場合、その上部の外壁にも劣化事象が発生している可能性があります。外壁に劣化事象があった場合は必ずその内部側も確認しておきましょう。

外壁材の捲れ↓

窯業系サイディングの浮き↓

一枚の外壁でのひび割れではなく、複数の外壁材にわたりひび割れや欠損が発生している場合は構造部材が劣化していることによる可能性が高いため、劣化事象に該当します。

放置しておくと穴があいてしまうほどの金属の錆や、化学的浸食が生じていて雨が降ると構造部材の劣化が進んでしまうような状態になっている場合、劣化事象等に該当します。

波板板金の錆↓

軒裏の錆↓

サイディングの端材部分や、金属パネルの小口や水切り部分に劣化が生じやすいので、注意して確認します。

また外部を見る際に、屋外部分の蟻害、腐食なども確認をしましょう。

なお、窯業系サイディングの表面に付着したカビ状の汚れは劣化事象等には該当しません。

外壁タイル仕上げのひび割れ又は欠損は、その部分から水が侵入して内部の構造材が腐食する可能性が高いため劣化事象にあたります。

タイル仕上げの著しい浮きがある場合、劣化事象に該当します。

外壁塗壁仕上げの場合、著しい浮きがあると劣化事象に該当します。

クラックスケール、メジャー、定規、ピアノ線、打診棒、カメラ、双眼鏡

1　目視で外周部を確認する

2　バルコニーがある場合はバルコニーから2階の外壁を目視確認する

3　クラックスケールやピアノ線を使ってひび割れの幅や深さを計測する

4　浮きがあるか打診棒を使って確認する

注意事項

・他人の敷地に入らないよう気をつける。

・計測や打診棒で調査をする時に、仕上材を損傷しないように注意する。

・双眼鏡や写真を撮影する時は、調査対象住宅以外にはむけない。（誤解を招くことのないように）

・バルコニーから調査する時は落下事故に注意する。

ホームインスペクションの検査はこのように行います。

既存住宅状況調査技術者（建築士）による既存住宅状況調査を行い、劣化事象の有無を確認し、原因を特定することが重要です。